活動報告

エコノミックガーデニング鳴門 【現在までの活動報告】

平成27年12月28日報告
鳴門市商工政策課

現在の状況と今後の方向性についての考察

 H24年度~H27年度における鳴門市のエコノミックガーデニングでは、初期段階として「企業訪問」「企業間ネットワーク」「支援ネットワーク」の3つの取り組みを掲げて推進してきました。ここでは、EGを進める中で想定と異なっていた部分の修正などを含め、改めてEG鳴門の目指す姿を考え、現時点の状況を認識すると共に、今後の取り組み手法について考えたいと思います。

1.「エコノミックガーデニング鳴門」が目指す姿

 日本におけるエコノミックガーデニングが目指すべき本質は、次の2つが同時に存在する状態を地域に構築するところにあると考えます。

 目標1「地域の多くの中小企業が成長意欲に富んでいる」
 目標2「地域に企業を成長させる環境(仕組み)が構築されている」

 現在はこの2つの状態をつくるため、日本でEGに取り組む各地域がそれぞれその手法を探っている段階であると言えます。
 なお、アメリカで実施されているEGの取り組み例としては次のようなものとなります。

① 成長ステージの明確化とステージ毎にきめ細かなコンサルティングが受けられる。
 相談された企業に関しての分析を行い、企業自身が成長ステージの数段階のうちどのステージにいるのか、次のステージに向かうための戦略などの伴走的なコンサルティングを行うシステムです。

② 有益なビジネス情報が安価または無償で提供されている。
 マーケティング情報全般を基本に、企業が必要とする情報を可能な限り提供することです。さらには、これらの情報に専門的な分析を加え、相談企業が活用しやすい形で提供することが重要です。

③ ①や②の機能を集約した場所(ビジネス拠点)が整備されている。

④ 税制優遇などビジネスに有利な制度を整えられている。

⑤ ①~④を有機的に活かす「地域経済コンシェルジュ」が存在する。
 エコノミックガーデニングを効果的に実施するため熱意を持って地域経済のために動く「人(団体)」の存在が重要と考えられています。

⑥ 最新のビジネスツールを活用する。

⑦ ジャンルを特定せず、あくまでも成長意欲のある企業を効果的に支援する。


2.EG鳴門これまでの取り組み状況

1.企業訪問  2.企業間ネットワーク

 平成24年当時、市の担当課では地域企業の情報がほとんど把握されていない状況でした。また、いきなりビジネス拠点のようなハード面を整備するには相当の投資などのリスクがあるため、鳴門市では、そうした整備の前にまず市内中小企業の状況把握やネットワークづくりなどのソフト面の充実を図ることで以後の土台作りに取り組みました。

 企業訪問や企業間ネットワークづくりを通じ、実際に多くの経営者と直接話をすることで、多くの情報を得ることが出来ました。その結果、担当課として、地域内の各産業の状況やその中の主要企業また伸び盛りの企業などの状況などについての情報量や地域経済への理解度はここ数年で格段に高まりました。

 企業訪問で将来性や独創性がある企業、また若く前向きな経営者とは他の場面で関わる機会や訪問回数が自然と増え、信頼関係も徐々に築かれていきます。そうした企業数はまだ多くありませんが、実感としては、そうした企業ほど今やろうとしていること、将来像などをオープンに話してくれる傾向がありました。

 また、地域の企業を尊重しコミュニケーションを大事にするという基本姿勢が担当課に浸透・定着したことで、多くの企業や金融機関、また支援機関などとの距離が非常に近くなったのは成果の1つであったと思います。

 企業訪問と企業間ネットワークの取り組みは、目標1のための基礎的取り組みとして有効であると考えますので今後も継続して行きたいと思います。

 なお、「企業間ネットワーク会議」は、これまでは様々な産業に波及させていく方針でしたが、実際にはネットワーク化になじまなかった分野もあったことから、市の産業特性から考え、当面は「食品」「観光」分野を中心に進めていきたいと思っています。

3.中小企業支援ネットワーク

 目標2 の取り組みとして、EG鳴門では、地域の関係機関(産学公民金)で構成する「中小企業支援ネットワーク会議」の構築を掲げてきました。
 これは、地域の中小企業や業界が抱える課題や支援策について、地域の各機関がそれぞれ単体で対応するのではなく、情報や支援策を共有し共に考えることで、より適切かつ効果的な支援ができると考えたものです。
 しかしながら会議の開催回数は現時点で2回にとどまっています。
 理由として、鳴門市では、これまでのEGの取り組みの中で、「中小企業振興基本条例」の必要性を感じ、平成26年度よりEGの一環として条例策定に取りかかることとなりました。条例策定審議会は年間5回以上となり、また、審議会メンバーは、必然的にほぼ「中小企業支援ネットワーク会議」に参加いただいていた機関となることから、重複による負担を避け条例策定作業を優先させたためです。
 なお、条例には、定期的な会議の開催を定めた条文も含まれており、これには支援ネットワーク会議の機能を併せ持たせることを想定していますので、EG鳴門における会議の位置づけは今後も変わりません。
 また、会議の開催そのものを目的としているわけではなく、これまでの活動を通じ、金融機関や支援機関との関係性は非常に良くなっており、相談事や情報共有についても市を介した形で以前よりはスムーズになったと感じます。今後はこうした状態を地域の体制(文化)として定着させる必要があります。

今後の取り組みと課題

前回の報告中の「今後の取り組みと課題」に関するその後の状況報告です。

① 中小企業振興基本条例の制定

平成26年度に基礎調査を実施し、条例審議会を立ちあげており平成28年度中の条例制定を目指しています。スケジュールとしては、平成27年度末頃にパブリックコメントの実施を予定しています。

② 創業の促進について

既存中小企業の成長と共に地域での起業が増えることは地域経済の活性化における重要な要素です。予定としては来年度より創業や企業の新事業展開に特化した市単独の補助制度創設を準備しています。この制度では、創業後も継続的にサポートできるような体制を構築したいと考えています。

③ 企業に対する直接的な支援策について

目標2では、アメリカの例を参考に、企業の成長ステージに応じたコンサルティング、それに各機関の支援制度を組み合わせた体系的システムで直接的かつ中長期的にやる気ある企業をサポートしていくシステムを地域に構築することを目指しますが、そうした形にするにはまだまだ時間を要します。
現時点で可能な施策として、来年度のEGの施策では、企業の新しい取り組みに対する補助制度を市単独で新設したいと考えています。
EG本来の支援方法とは異なりますが、単に目先の補助金の獲得のためだけでなく、数年後までの中期計画を制度適用の審査基準にしたいと考えており、専門機関によるヒアリングなどを経て事業計画を完成させるよう促すことで、経営者自身とともに自社を分析し、明確な将来像をもって計画的に経営に取り組んで行くきっかけになるようなものを目指します。
こうした施策づくりについても関連機関に相談し意見を頂きながら形作っていくとともに情報共有に努めます。

④ 情報収集・発信について

企業への情報力強化に向けては、まだ具体的な取り組みには至っていません。
理想的には、メーリングリストを作成し、その企業にとって必要と思われる情報に絞って送付するような仕組みを考えたいと思っています。

⑤ EGを主導する団体(人材)

EGを主体的に運営・推進する民間の団体や人材は現在も存在しません。地域外の事業所への委託という選択肢はありますが、地域に根付いた団体や人材が情熱を持って自発的かつ長期的に取り組むことが望ましいと考えます。

⑥ 施策連動と人材のつながり

エコノミックガーデニング以外の施策として位置づけていますが、サテライトオフィスや地域外から創業される方々は違った視点から地域を見ることができます。またそれらの経営者は地域と関わることに積極的な傾向がありますので、そうしたニーズを逃さず地域事業者と交わる機会を設けたり情報提供などを行ったりすることで地域に新しいビジネスが生まれるきっかけを作っていきたいと思っています。